単騎独考

切れるカミソリではなく、切れなくてもナタでありたい。

長岡京プロジェクト (3)

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立三は万年筆で手紙を書いた。

たった一枚、季節の挨拶もない、簡にして要を得るとはこう言うことかとイワシ男は思った。

「経営者は忙しいやろ、季節の挨拶なんかしている暇ないんや、要件だけドンと書いたらええんや、忙しい経営者は日に三回は従業員に『結論を言え』と怒鳴っているはずや」

「なるほど」

 

イワシ男はありがちな経営者がそう怒鳴っている姿を想像すると可笑しかった。

 

「でも、何を書けばいいんですか?」

「アホ、お前、そんなんもわからんのか」

「はい」

「それが社会に必要で、その人にメリットがあるから、会って説明したい、それだけ書いたらええんや」

「それだけですか?」

「そう、それだけや」

 

イワシ男は立三がしたためた手紙を持って郵便局に向かった。

 

暑い夏の日のことだった。

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*役仁立三シリーズは事実に基づくフィクションです。時々、完全にフィクションです。 

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さかはらあつし