単騎独考

切れるカミソリではなく、切れなくてもナタでありたい。

海男

海男(3)

「それで諦めたらあかんのや」立三は言った。 「そこでもう一粘りする、そこでもう一回、頑張るんや」自分を励ますようにもう一度言った。 「そうか、やっていたか」 「はい」イワシ男は立三の感情を逆なでしないように頑張って極めて淡々と応じた。 「あの…

海男(2)

「それでな、俺は物凄い企画を思いついたんや」と立三は切り出した。 「脚本は『脚で書く本』と読むんや、つまり、『犬も歩けば棒に当たる』と言う訳や」 「なるほど」 「やっぱりな、ヒントは社会観察、マーケティングの基本は街を歩いて観察してなんぼなん…

海男(1)

「おい、犬も歩けば棒に当たるって知ってるか?」立三は唐突に切り出した。 邪魔くさそうにイワシ男は振り向き「知ってますよ、いろはカルタじゃないですか?」 と答えた。 邪魔くさそうなイワシ男を見て、立三はムッとして「一寸先は闇はいろはカルタちゃん…